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- 化粧品等における「使用前使用後」ビジュアルの現状
最後に化粧品等の広告基準の改正が行われたのは2017年9月29日です。
それから6年6ヶ月が経とうとしています。
この改正の目玉となったもののひとつに『「使用前使用後」のビジュアルの使用』があります。
改正前、使用前使用後の写真等を使用する事は、医薬品等の効能効果あるいは安全性の保証表現となるため不可とされていました。
(但し、日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン」ではメーキャップ等の場合に限り良しとする例外あり)
そのため、『使用前使用後がないもので、かつ使用方法の説明として『使用中のものを表現する』という考え方に基づいて表現を作成しなければなりませんでした。
しかし改正によって、
- 効能効果を逸脱するもの
- 発現時間、効果持続時間の保証
- 安全性の保証表現
…とならない限り、事実上使用前使用後の図面や写真を使用することが可能になりました。
【医薬品等適正広告基準】
3(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
<共通>
(4)図面、写真等について
使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。
ただし、化粧品や薬用化粧品は医薬品ではありませんので、メーキャップ商品(物理的効果)や洗顔料(洗浄効果)等でない限り、目で見て大きな変化を認識できるものではありません。
ですので、過度な画像の使用には十分な注意が必要です。
また、翌年2018年8月8日に
「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」
の事務連絡が出されました。
この中のQ1とQ2に、使用前使用後に関わる事が記載されています。
内容は、
Q1:広告上で良い印象を受けるものと悪い印象を受けるものの画像を並べて表示する場合の考え方
Q2:使用前使用後の画像における具体的事例の可否
になります。1つずつポイントを解説致します。
Q1は例えば、
効果を逸脱した使用前使用後(例えば、シワのある顔からシワの無い顔)をビジュアルで示すことは不可能なので、“単に顔の印象を示したに過ぎない”という体で画像を並べて使用する…という手法を指します。
これについては回答として
『良い印象のイラストと悪い印象のイラストを並べて記載することや、異なる部位の写真で印象が良いものと悪いものを並べて記載することで製品による効果と結びつけて受け取られることを企図したものは、それが、使用前後の写真等の表現であるかどうかを問わず、医薬品等適正広告基準第4の3(5)に抵触すると判断される場合には、指導対象とすべきと解する。』
と明記されています。
この手法は従来より良く用いられてきましたが、この事務連絡により“製品による効果と結びつけて受け取られることを企図したもの”は【NG】と明文化されることになってしまいました。
次に、Q2の使用前使用後の画像における具体的事例の可否ですが、色々ある内の特に重要な、
「メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」という効能表示が認められた薬用化粧品の広告において、シミ・ソバカスのない肌と、製品使用後に紫外線暴露してもシミ・ソバカスが目立たない肌の写真を使用する場合」
についてご紹介します。
こちらも【NG】と判断される事になりました。
「防ぐ」との効能効果を使用前・後の写真等で表現することは不可能なため…というのがその理由です。
医薬品等適正広告基準の改正が行われたばかりの時はビジュアル的に変化が無いもの(効果として、シミをこれ以上作らない、広がらせない、濃くさせない…のため、使用前と使用後に変化が見られない)であればできなくは無い…と言われていました。
しかしながらその解釈にNGが出されたという事になります。
他の事例も紹介されていますので、全文は是非URLよりご覧ください。
「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」
⇒ http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/7125/00284475/0808duke%20jimurenraku.pdf
また、日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」の2020年度版においても、プラスアルファでルールが設けられました。
使用前使用後において認められないものとして上記の予防を表すもの以外に
「乾燥による小ジワを目立たなくする」効能を表現する場合
(F7.2 図面、写真等について)
が加えられています。
使用前使用後のビジュアルは、商品の魅力をお客様に伝える大きなコンテンツですので解禁されたというのはとても良いルール変更ではあるものの、その分禁止表現というものも明確にされています。
注意していきましょう。