RENTRACKS

Columns

コラム

  • コラムトップ
  • 広告主様が陥りやすい景表法の落とし穴 ~具体例とNGポイント~

広告主様が陥りやすい景表法の落とし穴
具体例とNGポイント

過去のコラムでは景表法の概要について説明しましたが、具体的にどういった表現で気をつけるべきかなど、イメージするのがなかなか難しいという広告主様も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、アフィリエイト広告のLPでよく使われる具体的な表記と景表法について、ケイヒョー博士が説明します。

なるべくインパクトのある広告で効果的なPRにしたいという気持ちは、どの広告主様にも共通しています。しかし、消費者の方へ誤解を与えないように、注意が必要な表現がたくさんあります。よく用いられる表現と抑えるべきポイントを把握して、景表法に抵触しないように気をつけてPRをしていきましょう。

登場人物
講師:ケイヒョー博士(景品表示法に詳しい博士)
生徒:イーシー太郎(アフィリエイト広告を出稿している広告主様)

景表法の重要性を理解しよう

イーシー太郎
僕の会社ではアフィリエイト広告を出稿しているのですが、アフィリエイター様が広告を掲載して成果を獲得してくれるので、他のWeb広告よりもバナーやLP等見直す機会が少なく手間がかかっていないんですよね。
このままあまり手をかけず運用しても大丈夫でしょうか。
ケイヒョー博士
アフィリエイト広告は一見手間がかからない広告のように思いますが、LPやバナーの表現は定期的にチェックする必要がありますし、第三者が掲載するからこそ気をつけてほしいことがたくさんあります。
意図せずに景表法に違反してしまうと、罰金やイメージダウンにつながるリスクがあるんです。
イーシー太郎
とある企業の広告が景表法違反になったという旨のニュースをたまに見ますが、あのように社名公開の上指摘されると、消費者を騙す意図はなかったとしても世間的にイメージダウンになってしまいますよね・・・。
広告は成果が獲得できていればいいということではなく、法律の観点も大事なんですね。
ケイヒョー博士
その通りです。
広告が効果的であることと、法的に問題がないことは別問題です。アフィリエイト広告を展開する上でまず知っていただきたいポイントは、景表法違反の責任は全部広告主様にある、という点です。第三者が掲載する広告手法という点で特徴的なアフィリエイト広告ですが、第三者つまりアフィリエイター様が景表法に抵触しそうな表現を用いていた場合も、法的な責任は広告主様にあります。
イーシー太郎
あれ、でもアフィリエイター様たちが自身で記事を書いて広告してくれますよね?
僕たち広告主側が監修や指示した記事でなくても、広告主の方が景表法違反になるんですか?
ケイヒョー博士
そういうことです。
アフィリエイター様が書く記事に対しても広告主様の監督責任はあって、そんな内容で広告していたとは知らなかった、ということでは済まされません!そして、アフィリエイター様たちが記事を作る上で参考とするのは広告主様の発信している情報、具体的にはLPやコーポレートサイトなどが情報源になります。
つまりそこで誤った情報、景表法に抵触するような表現を使っていては、アフィリエイター様たちも鵜呑みにして記事を書き、誤った情報が広がってしまうということになりかねないのです。
イーシー太郎
こわい・・・。
じゃあ、LPやバナーなどの広告素材はもちろん、アフィリエイター様の作った記事、掲載ページもしっかりチェックしていったほうが安全ですね・・・。
ケイヒョー博士
より抵触リスクを減らすためにはサイトパトロールはやっていったほうが良いです。
と、話が広がってきてしまいましたが、ここからはどんな表現が問題になるのかを学ぶため、広告でよく使われる表現とその問題点を具体的に確認していきましょう。

満足度90%〜その数字、本当に大丈夫?~

イーシー太郎
僕の会社が出稿している広告では、『顧客満足度90%!』という表現をLPに使っています。
実際にアンケートを取った上で記載しているので、問題ないですよね?
ケイヒョー博士
多くの人に支持されている商品は魅力的に見えるので、こういう具体的な数字を使った表現は広告に使いたくなりますよね。ただ、実はかなり慎重に扱わないといけないんです。
根拠が曖昧だと、優良誤認に該当し景表法に違反する可能性があります。
イーシー太郎
アンケート調査を行った結果、満足度が高かったので、そのまま使っているんですが、それでもダメなんですか?
ケイヒョー博士
調査自体が正しい手法で行われていれば良いのですが、景表法ではその数字を裏付ける具体的な情報、例えば『どれくらいのサンプル数』『どのような調査手法』で得られたかを明示しなければいけません。
単に『満足度90%』と書くだけでは、不十分な可能性があります。
イーシー太郎
なるほど、たしかに詳細までは書いていなかったかもしれません。
ケイヒョー博士
その数字だけ見るとインパクトが強いですが、仮に調査対象が極端に少なく、10人に聞いた結果の満足度が90%という実態があった場合、感じ方が変わりますよね。
イーシー太郎
それしかアンケートしてないのにあたかもすごい結果を残している感が出てますね。
ケイヒョー博士
その実態を隠していると、実際よりも優れた商品だと偽って宣伝している、優良誤認に該当する広告だと見なされてもおかしくないですよね。他にも、バイアスのかかった質問の仕方をしていないか等もチェックが必要です。
イーシー太郎
バイアスというのは、偏りがある質問ということですか?
ケイヒョー博士
そうです。
例えば自社商品を気に入って使っているリピーターのお客様だけにアンケートを取ったり、回答者にインセンティブを渡した上で『商品について満足しましたか?』ということをはい/いいえの二択で答えさせようとすると、肯定的な意見が集まりやすいと思いませんか?こういった作為的な調査はNG、それを隠して広告していることはもっとNGです。
イーシー太郎
僕の会社の広告は、前任者の頃から満足度90%の表記を使っているので、僕ではアンケート方法に問題なかったかどうかは確認できていないですね・・・。LPで使ってる表記含め、今一度見直してみます!
ケイヒョー博士
アンケート調査もLPの表記も、定期的に見直すことが大切ですね。サンプル数や調査方法をLPに明示し、透明性を持たせることができれば顧客満足度◯%の表記自体は使っても大丈夫です。仮に指摘が入ってしまった際にも、しっかり根拠を出せることが重要です。

業界No.1〜どの基準でNo.1?調査は適正ですか?~

ケイヒョー博士
使われやすい表現として、もう一つ『業界No.1』というのがあります。これも非常に多くの広告で見かけますが、注意が必要です。どの基準でNo.1なのかを明確にしないと、景表法違反に問われるリスクがあります。
イーシー太郎
『業界No.1』って、どこかからデータを取ってきて書けばいいんですよね?
ケイヒョー博士
そうですね。
ただし、具体的な基準を明確にしなければなりません。売上No.1なのか、シェアNo.1なのか、満足度No.1なのか、何を基準にNo.1なのかなど、客観的なデータや第三者機関の調査結果を用いて明示することが求められます。
イーシー太郎
たしかに『業界No.1』だけだと、見る人によって色々解釈できちゃいますね。
売上とシェア率では話が全然変わりますし。
ケイヒョー博士
他にも、調査した結果を記載する際には、その調査範囲と期間、出典などを明確にする必要もあります。
例えば『2023年の全国市場調査に基づく売上No.1』『〇〇調査会社の2024年調査による顧客満足度No.1』といった具合に、データの信頼性を裏付けることが重要です。あとは古いデータを使い続けるのもNGです。
イーシー太郎
No.1の根拠が一定期間でしか有効でない場合には、その期間が過ぎた後に同じ表現を使い続けると消費者の方が誤解してしまう可能性もありますもんね。売上にしろ満足度にしろとても流動的なものなので、定期的な調査とデータ更新が必要ということですね。
ケイヒョー博士
そうですね。
瞬間風速的にとある一日の売上が1位を取れたとして、そこだけ切り取ればNo.1という表現は使えそうなわけですが。「◯月◯日の売上」という注釈を小さくして、No.1のロゴを大々的に見せるというやり方でも印象操作はできてしまうので、こういう表現ももちろん言語道断です。
イーシー太郎
その一日の結果にすがって表記を使い続けるのは悪質ですね。
ケイヒョー博士
悪質と言えば実は最近、No.1表記を使いたいがために作為的な調査を行い、その結果を広告に使用している広告主様が問題になっているんです。リサーチ会社が、調査を依頼された企業をNo.1にするため、強い競合会社を抜いた比較対象のみをピックアップして比較調査したり、No.1という結果が得られるまで何度も繰り返しアンケートを取ったりするという行為が残念ながら確認されていて、消費者庁が実態調査に動いているんです。
イーシー太郎
えぇー!
じゃあ、外部のリサーチ会社に調査を任せたから安心ということではないんですね??
ケイヒョー博士
そうです。
商品/サービスのイメージや印象を問うようなアンケートを行って、無理やり1位を獲得して、それを広告に使いませんか、というような営業をするリサーチ会社もあるようです。つまり、売上やシェア率などと違っていくらでも操作できそうな主観を問う設問でアンケートを取るわけですね。企業によっては、リサーチ会社に任せていたのでNo.1表記は問題ないと思った、違反になるとは知らなかったという状況もあるようですが、それでも法的な処罰対象はリサーチ会社ではなく広告主様になってしまいます。
イーシー太郎
そういう広告のやり方があるんだと鵜呑みにしてしまって、うっかり景表法に抵触しないように、注意が必要ですね・・・。
ケイヒョー博士
やはり、あくまで問題は合理的な根拠があるか否かと消費者の方に誤解を与えないかどうかなので、調査やアンケートの中身は広告主様もしっかり把握した上で、消費者の目に触れる広告の表現は責任を持って使うべきですね。

比較広告~正しい比較で信頼を築こう~

ケイヒョー博士
次に、比較広告についてお話しします。まず比較広告とは、どういうものかわかりますか?
イーシー太郎
自社商品やサービスについて、競合他社と比較して優位性をアピールするものですよね。
アフィリエイト広告でもよく使われる手法だと思っています。
ケイヒョー博士
そのとおりです!
比較広告は、他社製品との差別化を図るために非常に効果的ですが、こちらも景表法の観点から見ればリスクが高いです。
イーシー太郎
競合と比べて、うちの製品が優れていると示すのは悪いことじゃないですよね?
ケイヒョー博士
それ自体は悪くありませんが、問題とならないように気をつけるポイントが主に3つあります。
まず一つは、その比較が公平かどうかという点です。例えば、自社の有利な点だけを強調し、他社の弱点を過剰に取り上げるような比較は公平とは言えませんよね。こういったものは景表法違反になりやすいです。
イーシー太郎
これまでの顧客満足度やNo.1表記と同様、恣意的に有利なところを切り取るなということですね。
ケイヒョー博士
はい。簡単に言うとそういうことです。
例を挙げると、『当社の掃除機は他社商品より吸引力が優れてます!』という点だけを取り上げて比較してもNGの可能性があります。他の性能、例えばコスパや容量、静音性などの比較がされないことで、消費者の方が全体的に一番優れている商品はコレだと誤認してしまうかもしれないからです。
イーシー太郎
なるほど・・・。これだけ聞いても、広告に比較を用いる際はけっこう多角的に比べる必要があるというか、慎重に扱わないといけなさそうですね・・・。
ケイヒョー博士
法に触れないようにするという観点では、慎重であれば慎重なだけ良いです!話を続けると、もう一つは、客観的に実証されているかという点です。広告における主張や表示が個人的な主観・推測ではなく、信頼できるデータや事実に基づいているという点が重要ということですね。
イーシー太郎
『競合B社より通信速度が速い!』とか、個人でそう感じたからといってそれで広告してはダメ、ということですかね。
ケイヒョー博士
純粋な消費者様は信じちゃいますからね。なお、データや調査を用いて比較広告をしたい場合には、中立性の観点から広告主様と利害関係のない第三者が行った調査の結果を用いることが望ましいとされているので、その点も覚えておいてください!最後、もう一つのポイントは、実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用しているか否かです。例えば20代に聞いた調査結果を引用する際に、その事実を書かないことで全世代に聞いた調査結果という見え方になってしまった、ということなどがあると、それは不当表示になる可能性があります。
イーシー太郎
これまでのポイントをまとめると、比較広告をする際には事実に基づいた公平な比較をして、それを適切に引用する必要があるということですね。LPなどの表記を含め、アフィリエイター様の比較サイトも問題ないか確認してみます!

キャンペーン~期間や条件は明確に~

ケイヒョー博士
最後に、キャンペーンについても触れておきましょう。
キャンペーンとはどういうものか説明できますか?
イーシー太郎
商品やサービスを売る際につける割引とか、ポイント還元キャンペーンなんかが該当しますか?
ケイヒョー博士
その通りです。
『今だけ50%オフ!』とか、『ポイント2倍キャンペーン』というような広告は、非常に魅力的なのでよく使われますが、景表法の観点から言えば必ずその期間や条件を明確に表示しなければなりません。例えば、『50%オフ』が実は一部商品にしか適用されない場合、その旨を明示しないと消費者に誤解を与えます。また、期間を曖昧に設定すると、景表法違反になる可能性が高いです。
イーシー太郎
そういえば、僕の会社の広告で10月末まで割引キャンペーンを行っていたのですが、売れ行きが好調だったのでキャンペーンを11月末まで延長したくなったんです。これも景表法的にはアウトになってしまいますか?
ケイヒョー博士
消費者の方は10月末までであれば安く買えるから購入を急いだのに、そのキャンペーンが継続的にやっていたら騙されたと思いますよね。10月末までがキャンペーンという旨を強調して購入を誘い、実際はキャンペーン期間の延長を予定していた場合や、キャンペーン終了間近に「今が最後の購入チャンス」などと訴えていたのに実際は終わらないなどのケースは有利誤認表示に該当して、景表法違反になるおそれがあります。
イーシー太郎
いや、当社の場合、キャンペーン開始当初は本当に10月末までの予定でした。
でも急遽、期間を延長したほうが良いねって会議で話が上がったんです。
ケイヒョー博士
であれば、キャンペーンの内容を変更して新たなキャンペーンにする、もしくは一度キャンペーンを終了させ、期間を空けて再度キャンペーンを行う、といった対応を行う必要があります。
消費者が不当に誘引されないようにすることが重要です。
イーシー太郎
広告を通じて消費者の方としっかりコミュニケーションを取らないといけませんね。今後も含めて気をつけます。
そういえば街で、ずっと閉店セールをやっているけど何年も潰れない店がありますが・・・。
アレも良くないってことですか?
ケイヒョー博士
アレも実はアウトですね・・・。
期間限定の割引が形骸化してしまうと通常価格という表示が誤解を招いてしまうので、キャンペーンを延長したり、実質的に割引が常に適用されている状態を作り出すと、景表法に抵触してしまいます。
イーシー太郎
条件をしっかり明示し、消費者に誤解を与えないようにすることが法律に沿った広告作りの基本、ということですね。色々勉強になりました。ありがとうございます!

まとめ ~透明性と信頼がビジネスを守る~

ケイヒョー博士
今日お話ししたように、アフィリエイト広告や、もちろんそれ以外の広告においても景表法は非常に重要です。『満足度95%』や『業界No.1』、比較広告、キャンペーンすべてにおいて、消費者を誤解させない透明性が求められます。広告は商品やサービスを魅力的に見せる手段ですが、それ以上に消費者との信頼関係を築く手段でもあります。
イーシー太郎
本当に勉強になりました。早速、広告を見直して、法的に問題のない表現に修正します!
ケイヒョー博士
それが良いですね。正しい広告は長期的に信頼を築くための基盤となります。今後も気をつけて頑張ってください!
広告主様 | for Advertiser

資料請求・お問い合わせ

メディア様 | for Media

お問い合わせ