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薬機法の基礎と広告規制
違反を防ぐためのポイントを紹介

2024/12/10

化粧品や健康食品などを扱う企業様が把握しておくべき法律の一つに薬機法というものがあります。特に、マーケティングの一環で広告を行う際、表現可能な範囲がわからず頭を悩ます広告主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムでは薬機法の概要と、広告を行う際にどういった点に注意すべきか、PR時の表現にフォーカスしてご説明いたします。
法律のすべてを一から勉強しなくても、重要な要点だけを理解していただけるようにまとめていますので、参考にご覧ください。

なお、薬機法と切っても切り離せない法律の一つに景品表示法というものがあります。景表法についても別のコラムでまとめておりますので、そちらも合わせてご覧ください。

【広告主様向け】
景品表示法(景表法)の概要とアフィリエイト広告運用の注意点

インターネットの発達により、消費者と事業者は直接の会話がなくても物の売買や取引がWeb上で簡単にできるようになりました。だからこそ、商品/サービスを提供する事業者には、消費者の方に適切な情報を届け、誤解がないように取引を成立させることが一層求められてます。

薬機法とは?

薬機法(やっきほう)とは、医薬品や医療機器などの開発、製造、販売、広告、流通に関して規制やルールを定めた法律です。正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言い、2014年11月の法改正以前は「薬事法」と呼ばれていました。

正式名称が表すとおり、人の健康や生死に関わる医薬品などの製品類について、品質、有効性・安全性を確保し、保健衛生の向上を図ることを目的としています。例えば、国が認めていない成分を使った薬が世に流通したり、製造許可を得ていない事業者が薬を作ったり、誇大広告で効果効能を大きく偽ったりなど、こういったことが横行してしまうと、消費者の健康や安全が脅かされてしまいます。未然に被害を防止するため、人体に直接影響する製品類に厳しい規制を設けたのが薬機法です。

薬機法が適用される製品類

薬機法の規制には適用される品目が定められており、その対象は以下の5品目です。

【薬機法の規制対象となる製品類】

■医薬品・・・医療用医薬品、市販薬(要指導医薬品、一般用医薬品(第1類~第3類医薬品)、体外診断用医薬品

■医薬部外品・・・うがい薬、殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンク等
※人体への作用が緩和なもので、法令又は告示で規定されてるもの

■化粧品・・・一般的な化粧品、シャンプー、スキンケア用品等
※人の身体を清潔、美化等するために外用(身体に塗擦、散布等)するものであって、人体への作用が緩和なもの

■医療機器・・・ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置、メス

■再生医療等製品・・・細胞加工製品、遺伝子治療用製品

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の概要
※各品目の細かい定義は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の第一章第二条をご覧ください。

これらの製品は人体に直接影響を及ぼすため、品質や安全性が確保されていないと重大な健康被害が発生する可能性があります。薬機法は、こういった製品類に対して厳格な規制を設けることで、消費者の保護を目指しています。医薬品等を提供する事業者は、薬機法を遵守しながら消費者へ製品を提供する責務があり、薬機法の規制に違反すると、処罰を受けるリスクがあります。

薬機法適用外の製品でも注意?違反となった摘発事例

規制対象の5品目に該当しなければ薬機法を気にしなくても良いのか?という疑問も湧くと思いますが、実はそういうわけにはいきません。過去には医薬品や医療機器等に該当しなくても薬機法違反になった事例が出ています。

【過去の違反例】
  • 身体の変化について承認を受けたわけではない清涼飲料水を「代謝を高め、排出を高めます。」と表記して販売したケース
  • 無許可で作った液体を「アトピーに効く」とうたって販売したケース
  • 医薬品として承認を受けていない製品を「痩せるゼリー」などとダイエット効果をうたい、広告したケース

など

つまり、薬機法が適用される5品目に該当しない事業者様も、薬機法に違反する可能性が十分にあるということです。そのため、人が直接飲食したり触れたりする製品を扱う際は、薬機法について正しい知識を身につけ理解した上で、製品を製造・販売・広告する必要があると言えます。未承認の成分を使って製品を作ったり、無許可で作った製品を誇大広告で販売したり、本来、病気や疾患の予防・治癒が目的でないものや、身体の内側から作用するはずのないものを、あたかも医薬品、医療機器等であるかのような効果効能をうたいながら広告したりすると、薬機法に抵触する可能性があるという点を十分に理解しておきましょう。

薬機法違反のリスク

続いて薬機法に違反した場合のリスクをご紹介しておきます。薬機法に違反した場合、内容によって以下のペナルティが課せられます。

刑事罰
広告に関する規制に違反した場合、2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金、もしくは両方が科される可能性があります。
行政処分
広告に関する規制に違反した場合、違反広告の中止や再発防止などの措置命令が科される可能性があります。
課徴金納付命令
2021年から、課徴金制度が導入されました。「虚偽・誇大広告の禁止」に違反した場合、課徴金対象期間に取引された製品対価の合計額の4.5%の課徴金納付を命じられる可能性があります。

薬機法は消費者様の安全を守るために非常に重要な法律であって、違反には厳しい罰則が設けられています。いかに違反しないように広告出稿するかを考え、適切な表現でPRすることが求められます。

薬機法上の広告とは?

前述のとおり薬機法は開発から流通まで様々な工程に適用される法律ですが、ここからは広告の表記に関する問題点を見ていきます。広告については一般の人たちの目に触れ、また実際に製品が手に渡り得る段階になりますので、特に注意が必要です。まずは前提となる「広告」の定義について、理解することが重要です。薬機法上では、次の3つの要件をすべて満たすものを「広告」としてみなします。

・顧客を誘引する (顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
・特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
・一般人が認知できる状態であること
引用元:薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日医薬監第148号都道府県衛生主管部 (局)長あて厚生省医薬安全局監視指導課長通知)

1つ目「顧客を誘引する意図があるか否か」については①客観的誘引手段性(内容や体裁等からみて、顧客誘引の手段としての性質を有している)と②主観的誘引手段性(行為者において、顧客誘引の手段とする意思がある)の両者が必要とされています。また、3つ目「一般人が認知できる状態」という点はだいぶ広く解釈され、不特定または多数の者に告知することとされています。そのため、販促目的で行う行為・広告はすべて対象になると考えてください。テレビCM、ラジオ、チラシ、インターネット広告はもちろん、口頭で商品説明する演述なども該当しますので、どんな形式でも消費者様の目に触れ・耳に入る販促物はすべて薬機法を遵守しながら出稿するべき、と考えておくべきです。

薬機法の広告規制

続いて薬機法の広告規制について確認していきます。薬機法の中で広告の規制を明記している箇所は、第十章、第六十六条〜六十八条の部分です。一つずつ引用した上で、内容を見ていきます。

■第66条・・・虚偽広告・誇大広告の禁止

(誇大広告等)

第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。

3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号) 第六十六条

内容を要約すると、以下の通りです。

  • 医薬品等の製品について虚偽・誇大な表現で広告をしてはならない
  • 効果効能について医師や他者が保証したという誤解を与える表現をしてはならない
  • 堕胎やわいせつに関わる表現、イメージを広告に使ってはいけない

「明示的であると暗示的であるとを問わず」「何人(なんびと)も」とあるため、ぼかした曖昧な表現でも薬機法に抵触する可能性があるということと、商品/サービスを扱う広告主様はもちろん、広告代理店や制作会社、掲載する側のアフィリエイター様・インフルエンサー様など、広告に携わる方すべての方に該当するということを理解しておく必要があります。また、どういったものが「虚偽」や「誇大」にあたるのかは広く解釈できるので、慎重に表現を選ぶことが重要です。

■第67条・・・特定疾病用の医薬品等の広告制限

(特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限)

第六十七条 政令で定めるがんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品又は再生医療等製品であつて、医師又は歯科医師の指導の下に使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、厚生労働省令で、医薬品又は再生医療等製品を指定し、その医薬品又は再生医療等製品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限する等、当該医薬品又は再生医療等製品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。

2 厚生労働大臣は、前項に規定する特殊疾病を定める政令について、その制定又は改廃に関する閣議を求めるには、あらかじめ、薬事審議会の意見を聴かなければならない。ただし、薬事審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号) 第六十七条

この項目では、特定の深刻な疾病に関連する医薬品の広告を制限しています。「特定疾病」とは、政令ではがん、肉腫及び白血病を指しています。誤った情報が世間に広まること、消費者様が誤解したり不安を感じることを防ぐため、一般の方向けにこれらの疾病の医薬品・再生医療等製品の広告を規制しますという内容です。

■第68条・・・承認前の医薬品等の広告禁止

(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)

第六十八条 何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号) 第六十八条

第68条は、承認前の医薬品等の広告を禁止した規定です。日本で未承認の医薬品、医療機器、再生医療等製品は名称、製造方法、効果効能について広告してはいけないという内容なので、例えば海外では効果が認められているものを輸入して販売したくても、日本で承認されていなければ広告NGです。また海外では食品扱いでも日本の基準に照らし合わせると医薬品に分類されることもありますし、国内で製造する製品ももちろん同様です。とにかく承認を受けていないものは広告してはならないということが定められています。

広告で薬機法を遵守するためのポイント

それでは、薬機法に抵触しないように広告を出稿するにはどうすれば良いでしょうか?いくつかポイントをご紹介します。

①薬機法や自社製品の品目区分を正しく理解する

薬機法に抵触しないためにはまず、法律の概要や目的、留意事項を確認し正しく理解することが重要です。また、薬機法自体の概要に合わせて「医薬品等適正広告基準」にも目を通しておくことをおすすめします。医薬品等適正広告基準は、医薬品などの広告が虚偽・誇大にならないよう適正化を図るために、厚生労働省が各都道府県知事に宛てた通知です。広告で留意すべき事項が分かりやすくまとまっており、広告表現の基準を理解する際の参考になります。

もう一つ重要なのが、自社が扱う商品/サービスがどの品目に該当するのかを把握しておくことです。例えば医薬部外品と、健康食品とでは、表現できる範囲が異なります。ここを誤ったまま広告を作成してしまうと、OKだと思っていた表現が自社製品では実は使えなかったということが発生し、意図せず薬機法に違反してしまう恐れがあるので、必ず広告を作る前に確認しておきましょう。

②事実に基づいて広告を制作する

実際の効果効能から逸脱することなく、科学的根拠や事実に基づいた広告制作をしましょう。事業者様の中には、広告の効果を高めるために少し誇張した表現を使って訴求し、購入・契約を誘おうとする企業も見受けられます。広告を掲載する媒体様側にも掲載基準や表現チェックがあるため、そこで一旦法令遵守に対する審査は入りますが、それもすり抜け出稿開始すると、薬機法に抵触する恐れのある広告が消費者様の目に触れることになります。仮に薬機法についての指摘がないまま出稿できたとしても、消費者の方が過度に期待を抱き購入・契約をすることで思っていた商品と違った等のトラブルになる可能性もあります。虚偽・誇大な表現、誤認を招く表現を避け、あくまで消費者の方が合理的な判断のもと購入できるように、過剰に煽ることのない適切な表現を用いましょう。

③定期的な法務チェックを行う

LPやバナーなどの広告素材について、出稿する前に弁護士や専門家のアドバイスを受けることを推奨します。多少コストはかかりますが、弁護士、あるいは広告表現のコンサルをしてる企業様など、何社か話を聞いてみて、一番条件などが合致するところと提携し、第三者の意見も交えながら広告を作るのが一番安全に運用できます。また、一回確認を通したので継続的にOKというわけにはいきません。薬機法や広告ルールは常にアップデートされるため、定期的に法的なチェックを行い、常に最新の規制を遵守するように体制を整えましょう。

なお、ネット上には無料で使える薬機法チェックツールがいくつかあるため、コストを抑えたい場合には、それを使って表現に問題ないかを確認するのも一つの方法です。ですが、あくまで簡易的なチェックに留まり、完全に過不足なく点検できるかというと少し心もとないものなので、不安が残る場合にはやはり外部機関との提携が安心です。

④掲載先の管理や表現ルール設定を徹底する

アフィリエイト広告やインフルエンサーを使ったPRなど、第三者が商品について紹介する形式の広告は、表現ルールを設けること、媒体管理を徹底することなどでより安全に運用できます。特に成果報酬型であるアフィリエイト広告は、媒体様も収益を上げるためにオーバーな表現を使って広告を掲載する場合が少なからずあります。自社商品が、どのサイトでどういった表現で紹介されているのかを把握できていないと、知らぬ間に薬機法やその他法律に抵触していたなんてことにもなりかねません。広告主様が責任を持って掲載サイトを管理・監督すれば、そういった事態を未然に防止することができます。

⑤社内でガイドラインを作成する

社内で広告に関するガイドラインを作成し、どの社員が担当しても一定のルールや規則に基づいて安定した広告運用ができるように、体制を整えておくことを推奨します。起こり得るケースとして、体制変更や退職で広告の担当者が変わり、それまで蓄積していた知見やルールが後任へ継続適用されず、法令遵守の機能・体制が徐々に失われてしまうことがあります。広告代理店など外部企業と連携しながら広告出稿をしている場合は、更にこのリスクがあります。会社としての運用の指針、インシデントが起こった際どう対応するのかなどを広告ガイドラインとしてまとめ、会社内や広告代理店などの関係者で共通認識を持っておけば、誰が担当しても安定した広告運用をすることができます。

これらは薬機法のみならず、景品表示法や食品表示法等などの他の法律を遵守する上でも大事な視点となりますので、参考に取り入れてみてください。

まとめ

今回は薬機法の概要や広告で気をつけるべきポイント等をご紹介しました。

薬機法は、日本国内での医薬品、医療機器、化粧品等の品質、有効性、安全性を確保するための法律であり、消費者の健康を守るために重要な役割を果たしています。違反すると厳しい処罰が科されるため、今一度法令を遵守できる広告になっているか?社内体制は万全かを見直しながら、マーケティング活動をしていきましょう。

なお、別のページでは化粧品や食品を扱う事業者様向けに、広告を行う上で気をつけるべき表現について解説しています。合わせて参考にご覧ください。

広告担当者様必読!
化粧品と薬機法を正しく理解するガイド

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、保健衛生の向上を図り、人の健康や安全を守るための法律です。医薬品や医療機器、化粧品などの安全性や有効性を確保するべく、開発、製造、販売、広告、流通に関して規制やルールを定めており、違反すると刑事罰や行政処分のリスクがあります。

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