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健康食品と薬機法
広告での規制や留意点、NGワード例をご紹介

2025/01/07

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、保健衛生の向上を図り、人の健康や安全を守るための法律です。医薬品や医療機器、化粧品などの安全性や有効性を確保するべく、開発、製造、販売、広告、流通に関して規制やルールを定めており、違反すると刑事罰や行政処分のリスクがあります。

基本的には国が定めた5品目(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品)について適用される法律ですが、実はこれに該当しない品目でも薬機法に抵触するリスクがあります。

今回は、特に注意が必要な品目の一つ、健康食品について、広告を行う上での注意点やNG表現例をご紹介します。

薬機法についての概要はこちらのコラムをご覧ください。

薬機法上の広告と広告規制~おさらい~

本題に入る前にまず薬機法上の広告の定義と、規制について簡単に触れておきます。

【薬機法上の広告とは?】

薬機法上では、次の3つの要件をすべて満たすものを「広告」としてみなします。

  • 顧客を誘引する (顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
  • 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
  • 一般人が認知できる状態であること

引用元:薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日医薬監第148号都道府県衛生主管部 (局)長あて厚生省医薬安全局監視指導課長通知)

顧客を誘引する意図が明確か否かは内容や体裁が重視される上、また、一般人が認知できる状態という点も広く解釈されるため、人が見聞きできる販促物はすべて対象と捉えたほうが安全です。実際、CMやチラシ、Web広告などいわゆる一般的な広告を含め、ラジオや口頭で演述する宣伝も対象となります。

【薬機法の広告規制】

薬機法のうち、広告に関して触れているのは第66条〜第68条の3条です。それぞれの要約としては以下のとおりです。

■第66条・・・虚偽広告・誇大広告の禁止
  • ・医薬品等の製品について何人も虚偽・誇大な表現で広告をしてはならない
  • ・効果効能について医師や他者が保証したという誤解を与える表現をしてはならない
  • ・堕胎やわいせつに関わる表現、イメージを広告に使ってはいけない
■第67条・・・特定疾病用の医薬品等の広告制限
  • ・特定の深刻な疾病(がん、肉腫、白血病)に関連する医薬品の広告を制限
■第68条・・・承認前の医薬品等の広告禁止
  • ・日本で未承認の医薬品、医療機器等は名称、製造方法、効果効能について広告禁止

参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)

もちろんどれも重要ですが、広告を扱う上では特に第66条、虚偽・誇大広告に該当しないかに気を配るのがメインになるケースが多いです。「何人も」とあるので、商品/サービスを扱う広告主様はもちろん、広告代理店や制作会社、掲載する側のアフィリエイター様・インフルエンサー様など、広告に携わる方すべてに該当します。広告主様は自社で作成するLPやバナー等の広告素材のほか、アフィリエイター様などが訴求する内容にも薬機法から逸脱した表現がないか、管理監督する責任があります。

健康食品とは?

続いて、健康食品とはどういったものを指すのか、また薬機法に関してどういう点を気をつけるべきか等を具体的に見ていきます。

健康食品とは、栄養補助・健康維持のために摂取する食品全般のことを指します。ドラッグストアで見かけるサプリメントや健康飲料がイメージしやすいと思いますが、明確な定義はなく、いわゆる普通の食材、お菓子などと一緒で一般的な食品と同じ扱いになります。なお、健康食品の中でもいくつか分類があり、「保健機能食品制度」で国が定めた基準を満たしたものを「機能性表示食品」「栄養機能食品」「特定保健用食品」として扱っています。

種類 詳細 国の審査 機能性の表示
健康食品 一般的な健康食品 栄養補助、健康維持のために摂取する一般的な食品 無し 不可
保健機能食品 栄養機能食品 厚生労働大臣が定める基準に従って、栄養成分の機能を表示する食品。一日に必要な栄養成分の補給ができる食品 無し 規定の文言のみ
可能
機能性表示食品 事業者自らの責任で有効性や安全性を評価し、明確なエビデンスを消費者庁へ届けだした上で販売できる食品 無し
※販売前の届け出は必要
可能
特定保健用食品 健康増進法に基づき、健康の維持、増進への有効性や安全性について国の審査を受け、消費者庁長官の許可を得た食品 有り 可能

参考:厚生労働省,いわゆる「健康食品」のホームページ

保健機能食品ではない一般的な健康食品は、基本的に普通の食品と同様、原則、機能性の表示ができません。健康食品のうち保健機能食品に該当するものは、基準に則っていて事実であれば、科学的根拠を添えた上で一定の機能を謳うことができます。ただ、いずれにしても病気や疾患の治療・予防を目的とした医薬品ではないことに変わりはないため、その点は誤解がないように区別して扱う必要があります。保健機能食品を含め、健康食品類は前述のとおり薬機法で規制されていない品目になりますが、医薬品と誤解を受けるような表現を使うと、薬機法に違反する恐れがあります。

健康食品が薬機法で気をつけるポイント

では具体的に、薬機法に違反しないためにどのような点に気をつければよいでしょうか?押さえておくべきポイントとしては、「医薬品と誤解されない商品や広告を作ること」。

繰り返しになりますが、健康食品が薬機法に触れる可能性があるのは「医薬品と誤解される表現か否か」が基準になります。つまり、そこさえ押さえておけば、薬機法に違反するリスクは十分に減らすことができます。

人が経口的に服用するものが医薬品に該当するか否かは、医薬品としての目的を有しているか、または通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するかどうかにより判断することとなります。その判定は、以下の4つの要素によって判断されます。

1、成分本質(原材料)
専ら医薬品で使われる成分を含有しているものは医薬品と判断されます。また、医薬品で使われない成分で構成される製品であっても、医薬品的効果効能を謳うと医薬品と見なされます。
2、効果効能の標ぼう
商品のパッケージや包装含め、販促物、広告で次のような効果効能を標ぼうするものは医薬品と見なされます。

  • 疾病の治療や予防に関する効能効果(例:糖尿病、高血圧、ガン、便秘の改善など)。
  • 身体機能の増強を目的とする効能効果(例:疲労回復、体力増強、老化防止、精力増強など)。
  • 医薬品的な効能効果を暗示する表現(例:特定の名称やキャッチフレーズ、成分、製法、由来などから暗示される効果)。
3、商品の形状
錠剤、丸剤、カプセル剤、アンプル剤などは、一般的に医薬品として認識されているため、これらの形状を持つ製品は医薬品と見なされることが多くなります。健康食品の場合、食品であることが明示されていれば、形状だけで医薬品かどうかは判断されませんが、消費者様を騙す意図があると判断される場合はその限りではないため、サプリメントなどを扱う事業者様は特にこの点に注意です。
4、用法用量
服用方法(服用量、時期、間隔等)を詳しく定めてるものは医薬品と判断されます。ただし、健康食品であっても過剰摂取や連用による健康被害が心配される場合は、摂取の目安を示すことが必要なケースもあるため、「1日◯錠目安」などの書き方であれば問題ないと判断されることもあります。

効能効果、形状及び用法用量の如何にかかわらず、専ら医薬品に使われる成分を含有する場合は原則医薬品になり、医薬品に使われる成分を含有してない場合においても2〜4いずれかに該当すれば医薬品と見なされます。

参考:医薬品の範囲に関する基準の一部改正について

これら4点を押さえた上で製品の設計やパッケージ、広告等の表示を定めていくことが重要になります。「2、効果効能の標ぼう」については次の段落で商材ごとに具体例を少しご紹介します。

健康食品の広告で気をつけるべきワード例

医薬品で使われる成分を使っていない製品でも、医薬品のような効果効能を標ぼうすれば医薬品と見なされてしまう可能性があることをお伝えしました。
そこで、続いては健康食品でよく扱われる商材ごとに、薬機法に抵触する恐れがある標ぼうの一例を挙げていきます。広告作成の際の参考に、ご覧ください。

【ダイエット関連】
■NGになる文言例
「脂肪燃焼」「体重が減少する」「○○kg減量」「-○○cm」「痩せる」「食欲を抑える」「デトックス効果」「ぽっこりお腹に」「脚がほっそり」「どんどん落ちる」

身体に直接変化を与えると捉えられる表現や、健康食品の摂取で痩せる、または太らないと暗示するのはNGです。また、「痩せる」等直接的な表現がなくても、「お腹」や「脚」「二の腕」など身体の部位を書くことでそこに効果があると暗示させるのも薬機法に違反する恐れがあるので避けるべきです。健康食品はダイエット効果があるわけではなく、あくまで栄養補助による「ダイエットサポート」であることを伝えるのがポイントになります。「健康的な生活習慣をサポート」「食生活の補助に」「運動や食事と合わせて、体作りをサポート」など抽象的な表現へ言い換えるのが望ましいです。

ただし、置き換えダイエットとして使う健康食品の場合は、「ダイエット」「痩せる」という表現が使えます。普段の食事から置き換えることで物理的に摂るカロリーが減り、その結果として「痩せる」ことはあるためです。ただし、運動や食事制限なくその商品を摂取するだけで痩せる・ダイエット効果があると謳うことや、脚や二の腕など部分痩せを謳うことは薬機法違反になる可能性があるため注意が必要です。

【腸内環境(お通じ)関連】
■NGになる文言例
「便秘が解消される」「お通じが良くなる」「腸内フローラ改善」「善玉菌が増える」「悪玉菌が減少」「腸内環境が整う」「お腹の張りがなくなる」「消化不良を改善する」「お腹の調子はいかがですか」

乳酸菌やビフィズス菌等を主成分としたサプリでは、便秘改善や腸内環境を整えるなどの表現を使いがちですが、身体や症状に効果がある表現、またはそれを暗示させる表現は薬機法違反になる可能性があります。また、直接「便秘」「腸内環境を改善」と言っていなくても、「お腹」や「肌」など、身体の一部を特筆することでそこに作用すると思わせる表現もNGです。「日常的な腸内の健康維持に」などの抽象的な表現や、身体への効果ではなく気分的な意味合いで使う「朝からすっきり」などの表現であれば可とされる場合があります。

【美容関連】
■NGになる文言例
「シワがなくなる」「肌が若返る」「アンチエイジング」「シミが消える」「ニキビが治る」「美白」「抗酸化」

コラーゲンやビタミンサプリなど、美容や健康のための栄養補助製品はいくつかありますが、健康食品の場合はやはり「肌」「髪」などに治癒・治療的な効果があると暗示させる表現はNGになります。「キレイをサポート」「健やかな肌を目指す」「健康的な肌を維持」などの表現で、あくまで維持や栄養補助であることを強調すれば消費者様の誤解を招くリスクが軽減できます。また、「1粒にビタミン◯mg配合」など事実を述べるだけであればOKです。

【妊活関連】
■NGになる文言例
「妊娠しやすくなる」「妊娠を促進」「不妊改善/予防」「妊娠の確率が上がる」「授かる」「精子/卵子」「胎児の○○予防」「○○(疾患)のリスクを下げる」

葉酸や鉄分など一般的に妊娠時・妊活時に摂取すると良いとされる成分はありますが、サプリメントで妊娠や胎児へ影響すると捉えられる表現は薬機法違反になる可能性があります。あくまで栄養補助であることを前提に、抽象的な表現や気分的な表現に言い換える必要があります。「ママの味方」「不足しがちな栄養を補給」などの表現、「1粒に葉酸◯mg配合」などの事実であれば広告で使うことができます。

【その他のサプリ】
■NGになる文言例
  • 睡眠関連「寝つきが良くなる」「不眠症」「ぐっすり眠れる」「睡眠障害を改善」
  • 筋肉関連「筋力アップ」「筋肉増強」
  • 精力関連「精力が増す」「性欲が高まる」「男性機能回復/改善」「勃起」「○○cmアップ」
  • 更年期関連「更年期の女性に」「毎日のイライラに」「精神安定」
  • 免疫関連「免疫」「免疫力アップ」「疲労回復」
  • 目関連「視力の低下に」「夕方ピントが合わない目に」

どの商材でも共通して、病気や疾患の予防・改善を謳えないことはもちろん、それを思わせる症状を記載したり、身体の一部に言及しながら変化や効果効能を遠回しに示唆するのもNGということが言えます。

生活習慣や日常の栄養補助、あくまでサポートであることを前提として、事実に沿った範囲で広告表現を検討することが重要です。

【その他・共通】
用法用量の指定
「夜寝る前に」「食後に」「一日朝晩2回」「一回2錠」「水でお召し上がりください」など

先に少し触れた通り、用法用量の指定は健康食品においては原則禁止されています。医薬品は安全性の確保及びその効果を発揮するために用法用量を定める必要があり、それと誤解されるのを避けるためです。ただし、過剰摂取や健康被害を防ぐ目的での記載までNGとなるわけではありませんので、「目安」という文字を入れ、万が一の健康被害を防ぐため「一日目安◯粒」という記載方法や、上限の記載「1日5粒を上限にお飲みください」などの書き方であれば、医薬品に該当しないことになります。

ここから以下は景表法の観点から見てもNGなものもあり、すべての事業者様に注意が必要な表現です。

「安心」「安全」などの表現
「子どもでも安心」「国内生産なので安心(安全)」「安全性は確認済み」「無害」など

「安心」は個人の主観であり、また「安全」文言についてもそれが確実である保証をするような表現は禁止されています。

最上級表現
「日本一の効果」「最高の効き目」「〇〇の王様」など

効能効果等又は安全性についての最大級の表現は消費者に過度な期待を抱かせるため禁止されています。

不確実な、または絶対的な表現
「必ず〇〇が改善する」「確実に効果がある」「わずか数日で効果が実感できる」「すべての人に効果あり」など

消費者の方へ過剰な期待を持たせる表現は原則禁止されています。

権威ある第三者が勧めている旨の表現
「医師もおすすめ」「産婦人科医推奨」「〇〇成分は学者も推奨」など

人の認識に影響が大きい医者や団体などが推奨しているという表現は原則NGです。

他社の製品の誹謗、比較広告
「〇〇社よりも〇〇成分配合」「〇〇社より優れた商品」など

他社商品と比較して自社の商品が優れていると謳う広告は原則禁止されています。具体的な商品、ブランド等を明らかにしなくても、不適切な表現として指摘が入る可能性があります。

文字以外の表現も危険?その他のNG表現

これまで広告で使われがちなNG文言をご紹介しましたが、それに加え、文言以外で気をつけるべき表現を2点挙げていきます。

口コミ等を利用して効果効能を暗示すること
広告バナーやLPなどに利用者の口コミを挿入し、消費者様に向けて商品の良さをアピールするケースは多いです。第三者の意見や口コミを広告素材に入れること自体は問題ないですが、例えば「◯Kg痩せた」「◯◯(病気/疾患)が治った」「〇〇(症状)が改善された」などの医薬品的効果を暗示させる表現があると、実際の利用者の言葉であっても薬機法違反になる恐れがあります。注釈で「個人感想であり効果効能を保証するものではありません」などの文言をつけたとしてもNGです。事業者様の責任で、薬機法に触れる可能性がある口コミは広告に使用しないことはもちろん、場合によってはポータルサイトなどに投稿された口コミも削除などしながら適切に扱い、消費者様に誤解を与えないように対応していくことが求められます。
ビフォーアフター画像を用いて効果効能を暗示すること
製品を使用する前と使用した後の画像を並べ、変化や効果を訴求するビフォーアフター画像は、広告においてもよく使われます。健康食品で言うと、特にダイエット系の商材やお通じ関連、美容系サプリなどで用いられる可能性がありますが、これに関しても薬機法違反に抵触してしまうリスクがあります。文字のない画像による視覚的な訴求であっても、消費者の方が効果効能があると誤解したり、効果の保証がされているものと勘違いする恐れがあるためです。染髪料の色味の比較や、ファンデーションなどメイクアップ前後の比較などであればビフォーアフター画像も認められるケースがありますが、薬機法に抵触する可能性が高いため、避けたほうが良い表現になります。

まとめ

今回は薬機法と健康食品の広告を行う上で注意すべきポイントについて説明しました。食品類は健康増進法や食品衛生法、食品表示法なども遵守する必要があるため複雑ですが、薬機法に関しては「医薬品と誤解されないように」という点を意識すれば比較的シンプルです。効果効能を誇張することなく、消費者の方へ適切に商品を届けられるように、NGワードなども参考にしながら慎重に表現を検討してみてください。

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