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マーケティングに欠かせない
「潜在層」「顕在層」の理解とターゲティング戦略
マーケティングや広告業界でよく聞く「潜在層」や「顕在層」。言葉の意味や、どういったシーンで活用するかをご存知でしょうか?潜在層や顕在層の違いを理解することは、効果的なマーケティングを行う上で欠かせません。
潜在層や顕在層という言葉は聞くけど、どういうことかよくわからないという方に向けて、具体例を交えながら解説します。さらに、それぞれに効果的な広告手法などもご紹介しますので、参考にご覧ください。
潜在層・顕在層とは?
「潜在層」「顕在層」という言葉は、主にマーケティングや心理学の分野で使われます。販促活動においてターゲットとなる顧客の心理状態や、商品/サービスへの興味・関心の度合いを表す際に用いられる概念です。
- 潜在層とは?
- 「潜在」とは、まだ表に現れていない状態を意味します。マーケティングにおいては、自身のニーズや悩みに気づいていない人々を指し、この段階にある顧客を「潜在層」と呼びます。
- 顕在層とは?
- 「顕在」とは、はっきりと表に現れている状態を意味します。そのため、すでにニーズや悩みを自覚している人々が「顕在層」に分類されます。
- さらに細かい分類も
- さらに細かく分類すると、「非認知層」「明確層」など、心理レベルを表すさまざまな階層があります。
これらの心理階層は、以下のような漏斗の図で表されることが多く、マーケティング戦略を立てる際の指標として活用されます。
それぞれ、どういう人が該当するのかを説明します。
潜在層とは?
潜在層(せんざいそう)とは、まだ具体的なニーズや課題を自覚していないが、自社商品/サービスに関するジャンルに興味はあり、将来的に顧客になりうるターゲット層のことを言います。この層の人たちは悩みがまだ表面化していないため、一般的に、解決に向けて積極的なアクション(情報収集や来店など)を起こさないとされています。情報収集をしないということは、自社商品/サービスについても認知していない可能性が高く、マーケティングにおいては購入や契約から少し遠い層として扱われます。
ダイエットを例に挙げると、体型について悩みを自覚していない人や、課題はあるものの、具体的に解決しようとしていない人、まだその解決方法に気づいていない人などが潜在層にあたります。潜在顧客とも呼ばれ、何かの拍子に「体型を変えたい」というニーズや需要が喚起されれば、将来的にダイエット商材の顧客になる可能性がある人たちです。
顕在層とは?
顕在層(けんざいそう)とは、すでに自分のニーズや欲求を認識しており、その解決策を求めているターゲット層のことを指します。「見込み客」「比較検討層」などと言われることもあり、自分の悩みを解決する方法や具体的な商品/サービスを探している段階です。そのため、積極的に物やサービスの購入を検討している層、とも言えます。その中でも特に、自社商品/サービスをすでに認知してくれている層のことを指す場合もあります。
例えばダイエットで言うと、「体型を変えたい」と自分の明確な悩みを認識し、ダイエット食品やジムやエステなどのサービスを探してWeb検索したり、お店まで足を運んでいる層が、顕在層に当たります。
また、ニーズはあるものの、商品やサービスを知らない層もしくは購入を検討していない層を「準顕在層」と言って、顕在層と分けて考えることもあります。
非認知層(無関心層)とは?
非認知層とは、「無関心層」とも呼ばれ、自社商品/サービスやそのジャンルに興味関心がない層を指しています。自社を知ってくれていても興味がない人や、自社を知らない人なども存在します。
ダイエットを例に取ると、体型に悩みを持っていない人、ダイエットしようとも思っていない人などは、ダイエットに関連する情報を自ら探したり目についたりしないので、ダイエット系の商材に対する非認知(認知しようとも思わない)層、無関心層と言うことができます。
この層の人はそもそものニーズや課題がないため、物やサービスを売り込むこと、自社を認知してもらうことは最も難しいとされています。しかし、アピールを続けていればニーズが育ち、潜在層や顕在層に引き上がる人もいるかもしれないので、広告などでアプローチする意義がまったくないとは言い切れません。
明確層とは?
明確層とは、顕在層の中でも特に具体的で明確なニーズや目的を持っている層です。自分が何を求めているのか、どんな商品やサービスが最適かをしっかり理解しており、購買決定をするための準備が整っている状態です。つまり、購入というアクションを起こす寸前の人を指しています。
例えば、ダイエットしたい人向けの商材はダイエット食品やエステ、ジムなど様々ありますが、その中でも自分にはジムで痩せるのが合うという考えがはっきりしており、どのジムと契約しようか、まで検討している人が明確層に該当します。
対象となるユーザー数は図のとおり非認知層が一番多く、相対的に明確層の母数は少なくなります。全人口のうち、特定のジャンルに興味ある人は一定数で、そのニーズが顕在化している人も更に対象が絞られると思うので、この法則は基本的にどの商材にも当てはまると言えます。対して、商材(例で言うとダイエット商品)への関心度は明確層のほうが高く、非認知層へ向かうにつれて低くなっていきます。
心理階層を分けて考える必要性とは?
それではなぜマーケティングでは「潜在層」「顕在層」など顧客を心理段階で分類して考える必要があるのでしょうか?その答えを一言で言うと、マーケティングの効果を最大化するために重要な意味を持っているからです。具体的には、以下のようなことに役立ちます。
1. 広告の目的を明確化する
前述のとおり消費者は欲求レベルによって取る行動や欲しい情報が異なるため、効率的に広告を回すには各段階に応じて出稿の目的を設定することが重要になります。
例えば大勢の人に向けてまったく同じ広告を見せるよりも、広告Aは潜在層向けに認知を広げる目的、広告Bは顕在層向けに購入を促す目的、などといったように、切り分けて考えればそれぞれの心理状態に合ったアプローチ方法を検討することができます。
実際、まだ購入意欲の低い潜在層にはまずニーズに気づかせることや、商品への興味を引き、認知を深めるプロセス(リード育成)が必要です。自社商品/サービスの認知が狭く、見込み客が少ない場合には、潜在層から顕在層への引き上げを目的にして広告を出稿すると良いでしょう。広告の成果としてすぐの購入や契約に繋がらなくても、世間に知られれば興味を持ってもらえる可能性は広がります。対して顕在層には、購入や契約の後押しとなる広告の見せ方が良いとされています。
特に近年はWeb広告を中心にユーザーの細かいターゲティングが可能になりました。目的が定まらなければ適切な媒体選びやメッセージ選びができずターゲティングも難しいため、顧客には心理段階があることを前提に、自社にはどの顧客層が足りておらずどういった課題があるのか?を含め、出稿の目的をよく整理していきましょう。
2. 広告出稿のKPI設定を容易にする
目的が設定できれば、各段階に応じてKPIを設定することができます。KPI(重要業績評価指標)とは、事業の最終目標を達成するために設定する中間目標、定量的な指標のことです。広告を出稿する上でも、ゴールに向けて目的を達成する際の中間目標として活用されています。
例えば認知拡大を目的とした広告では、購入や契約など直接の売り上げに繋がらなくても、それ以外の部分で広告効果を測る目標が必要です。そこでKPIとしてインプレッション数やクリック数などを活用することで、どれだけユーザーに見られたか?を計測・評価することができます。対して、購入数増加を目指す広告では、購入数やCVR(購入率)などの数値を指標として活用できます。このようにKPIが明確であれば、広告運用の方向性が定まり、目標達成に向けてブレずに出稿を進めることができますし、広告効果の良し悪しも判断しやすくなります。
3. ターゲティングとメッセージの最適化
顧客は心理段階によって求めている情報や行動が異なるので、それに応じて企業側も最適なアプローチ方法、出すべきメッセージの選定が必要です。それらが最適化できれば、効果的な広告運用が可能になります。
例えば、顕在層に当たる人は積極的に商品比較や具体的な商品情報を調べようとする行動が想定できます。そのような人に対しては、検索エンジン経由で商品/サービスの詳細や価格、特典、他社との違いをPRすれば、購入に繋がるかもしれません。一方で、潜在層は課題が表面化しておらず検索はしないことが多いため、検索エンジン以外の媒体でニーズや問題に気づかせるようなメッセージを広告として出せば、ゆくゆくニーズが顕在化して、検索行動や購入などに繋がる可能性があります。このように、ターゲットに合わせてより適切なタイミング、メッセージ、アプローチを取ることができれば、広告の費用対効果が上がり、結果的に目的が達成しやすくなります。

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Web広告は広告の一種で、ネット上のWebメディアやアプリ等に掲載される広告の総称です。インターネット広告、オンライン広告などとも呼ばれます。
潜在層に効果的な7つの広告手法
ここからはターゲット別に効果的な広告をご紹介します。
潜在層へのアプローチでは、不特定多数の人に向けて自社商品/サービスの認知を向上させること、ブランドへの関心を引くことが中心となります。広告の内容は商品の詳細や割引などよりも、悩みやニーズに気づかせてあげるようなメッセージ・キャッチコピーを選択し、広く大勢の人から注目を集めるようなクリエイティブで構成するのがポイントになります。
出稿先としてよく活用されるのは、以下の7つが挙げられます。
①マス広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)
マス広告とはテレビや新聞など、いわゆるマスメディアを通じて大衆に向けて一斉にメッセージを伝える広告手法です。幅広いターゲット層にリーチできるため、認知度向上に強力なのが最大の特徴です。メディアの信頼性を活かして、ブランドの信用感を増進できます。
ただし、媒体それぞれのメリット/デメリットはあるので注意が必要です。テレビCMは動画で動きのある強い訴求ができますがその反面コストが高かったり、新聞は購読者層が限られたりと、それらの特徴を踏まえて出稿先を選定する必要があります。
②OOH広告(屋外広告)
OOH(Out Of Home)広告とは家の外に掲示される広告全般のことで、具体的には看板広告、交通機関内外の広告などが該当します。公共の場で、街行く大勢の人々に向けて商品/サービスのアピールができるので、潜在的なニーズがある人の目につき、興味を持ってもらうきっかけになるかもしれません。
ポスター等でイメージされる静止画のほか、最近では動画や音声が流せるデジタルサイネージ(ディスプレイやタブレットなどの電子表示媒体)も駅前に増えているので、それを利用すれば視覚&聴覚に強く訴える広告表現も可能です。あまり対象を絞らず、広く大勢の人に商品/サービスやブランドを知ってもらいたいという際に、向いている広告手法です。

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企業が自社ブランドや商品を世に広める上で欠かせない広告。その中でも、OOH(オーオーエイチ)広告という広告をご存知でしょうか?
③ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、インターネット広告の一つで、Webサイト上に設けられている広告枠に対して配信される広告です。代表的な媒体としてはGoogle(GDN)やYahoo!(YDA)が挙げられますが、GoogleやYahoo!のサイト上の広告枠だけでなく、それぞれ提携しているパートナーサイトの広告枠にも一斉に広告配信ができます。画像・動画を用いた訴求が可能で、ユーザー属性(年齢や性別)、趣味嗜好の傾向などでターゲティングできるため、例えばコスメであれば女性、スポーツに興味ある男性といったように、自社の商材にある程度興味を持ちそうな潜在層へ絞って広告を見せることもできます。
④SNS広告
SNS広告は、XやInstagram、Facebook、TikTokなどのSNS上で配信できる広告の総称です。媒体ごとに集まるユーザーの特徴が異なるため、特にターゲットにしたい層を絞って媒体を選定することで、認知拡大が期待できます。ユーザーが何気なくSNSを見ているところに広告を表示するので、例えばインスタであれば画像、Xであればテキストといったように媒体のトーンに合わせて訴求すれば、他コンテンツと溶け込みやすく、違和感なく広告に触れてもらえます。SNSはユーザーの登録情報も持っているため、広告のターゲティング精度も高く、興味・関心に基づいて配信されれば、潜在層にも効果的です。何度も広告を見てもらえれば単純接触効果も期待できます。
⑤動画広告
動画広告とは、主にインターネット上で配信される、動画コンテンツを活用した広告全般を指します。YouTubeやInstagram、TikTok等でも配信できるためSNS広告と混同するかもしれませんが、媒体は多様で、出稿先を選べば通常のWebサイトにも配信できます。画像やテキストで表示する広告よりもインタラクティブでストーリー立てた表現もでき、視覚・聴覚の両方に働きかけながら、潜在層へ強い印象を残すことができます。動画編集やクリエイティブ作成に時間がかかるなどのデメリットもありますが、認知拡大に加えブランディングにも効果的なため、近年人気な広告フォーマットになっています。
⑥純広告(バナー広告)
純広告とは、特定の媒体の広告枠を一定期間買い取って掲載する広告です。例えばYahoo! JAPANやお天気の情報サイトなど、PV数が安定して一定数あるWebサイトのTOPページへバナーを出す掲載方法が一例として挙げられます。ビジネス情報サイトや料理サイト、キャンプサイトなど、メディアによってはある程度ターゲット層のセグメントができているので、自社の製品と親和性がありそうな媒体を選ぶことがポイントになります。
⑦記事広告、タイアップ広告
記事広告/タイアップ広告とは、特定の媒体に、通常の記事や動画と同じような形式で、商品/サービスについての紹介コンテンツを作成・投稿してもらう広告手法です。例えば美容系のメディアには美容の情報記事が多くアップされていますが、そのような美容記事の中の一つに自社商品/サービスの広告記事を入れてもらうような掲載イメージです。読者や視聴者に、自然な形で違和感なく商品情報に触れてもらえるため、興味を引きやすい広告です。ただ、すぐの購入や契約には繋がらない可能性が高いので潜在層向けと言えます。
顕在層に効果的な4つの広告手法
顕在層へのアプローチでは、即時的なアクション(購入、登録など)を目標にするのが一般的です。商品やサービスの詳細情報や特典、競合商品との違いや強みを強調するような訴求にするなど、複数の商品から自社の商品を選んでもらう見せ方が重要になります。出稿先としては以下の4つが特におすすめです。
①リスティング広告
リスティング広告とは、インターネット広告のうちの一つで、検索エンジン(GoogleやYahoo!など)の検索結果画面に表示されるテキスト型の広告です。ユーザーが検索したキーワードに基づいて表示されるため、すでに情報や商品を探している人へのアプローチに効果的です。例えば「エステ 新宿」「置き換えダイエット 安い」などと検索している人に向けて自社商品の広告を出せば、来店や購入に繋がる可能性が高くなります。キーワードによっては競合会社が多く出稿料が高くなってしまう点はデメリットですが、顕在層へアプローチする際は欠かせない広告手法です。
②メール広告
メール広告は電子メールを使って商品/サービスをPRする広告手法です。すでに購入履歴のある顧客様や、無料会員登録を行ってくれた会員様などに向けて、特典やキャンペーンなどを周知しながら購入を促します。すでにどこかで接点を持ったお客様がメール配信対象のため、顕在的なニーズがある方が対象の広告手法と言えます。新規顧客獲得だけでなく、リピーター作りやロイヤリティ(会社への愛着)の向上にも適しています。
③アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とはインターネット広告のうちの一つで、ブログや比較サイト、SNSアカウントなどを持った媒体(アフィリエイター)様が、成果報酬で商品やサービスを紹介してくれる広告手法です。購入や来店、会員登録など、広告主様側が何を成果とするのかを決めて出稿できるため、リスクが低く費用対効果が高い傾向があります。
媒体側が第三者目線で商品の良さや他社との違いを訴求してくれるため、自社の言葉で行うPRとはまた違った信頼性が生まれる点もメリットです。

【広告出稿を検討中の方向け】
アフィリエイト広告とは?概要をわかりやすく解説
アフィリエイト広告とはWeb広告の一つで、成果報酬型の広告です。Web広告は掲載することで費用が発生するものや、ユーザーへ広告が表示されたら費用が発生するものなど、種類と費用形態が様々あります。
④リターゲティング(リマーケティング)広告
リターゲティング(リマーケティング)広告とは、過去に自社サイトを訪問したユーザーに対して、再度広告を表示する手法です。自社サイトに一度来たことのあるユーザー=ニーズが顕在化しており、すでに商品/サービスに興味がある人とも言えるので、もうひと押しすれば購入や契約まで繋がる可能性が高くなっています。セオリーとしては、リターゲティング広告では期間限定の割引や特典などを提示してあげるのが効果的です。何度も広告を見ているうちに購入意欲が高まり、割引があるうちに買おうとする心理が働きます。
まとめ
今回は「潜在層」「顕在層」の意味やマーケティングで重要視される理由、それぞれに向けて効果的な広告手法などをご説明しました。
顧客の心理段階を理解して適切なアプローチ方法を考えることは、特にWebマーケティングの効果を最大化する上で欠かせないプロセスになりました。
今回の記事を参考に、顧客様の購入までの心理ストーリーを考え、それぞれの段階に応じたマーケティング施策を実行してみてください。
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